どうも、にこいちです。
利用者や患者と接しているとき、この判断で果たして合っているのだろうかと思う場面はありませんか?そんなときに必要になってくるのが、倫理観です。
特に看護師は、患者の命を預かる責任を持つ職業であり、その過程で多くの倫理的な問題に直面します。このような問題に対処することは、看護師にとって不可欠なスキルの一つであり、倫理的に正しい判断を下すことが求められます。
本記事では、「看護倫理」というテーマに焦点を当て、看護師に求められる倫理的な観点について掘り下げます。
具体的には、看護倫理の基本的な概念、看護師が患者やその家族と接する上で必要な倫理観、倫理的ジレンマに直面した場合の対処法、そして終末期医療における看護師の倫理的責任について取り上げます。
本記事を読むことで、看護師としての倫理的な責任や、倫理的ジレンマに直面した際の対処法を理解することができます。また、終末期医療において看護師が果たす役割や倫理的責任を知ることで、看護師としての専門性を高め、患者とその家族に寄り添う看護師としての使命感を養うことができます。
この記事は妻の看護師に監修していただき、終末期医療にかかわる理学療法士である私が作成しました。
「看護倫理」とは何か?
「看護倫理」とは、看護に従事する人々が、患者に最高のケアを提供するために、自分たちが守るべき基準や道徳的な価値観に関する理論や原則を指します。看護倫理は、看護職の職業倫理として位置づけられ、看護師が患者と家族との関係を築くための基盤となっています。
看護倫理の基本的な概念は、以下のようなものが挙げられます。
尊厳の尊重 | 患者が人としての尊厳を保持することが重要であるという考え方です。患者が自己決定をする権利があり、看護師はその尊厳を尊重することが求められます。 |
自己決定の原則 | 患者は自分自身の医療に関する意思決定において主体性を持つことができるという原則です。看護師は、患者の自己決定を尊重し、その自己決定を導くための情報提供やサポートを行うことが求められます。 |
非マレフィセンス(無害の原則) | 看護師は、患者に対して無害であることを保証することが求められます。治療の過程での患者への害を最小限に抑えることが重要であるという考え方です。 |
利益相反の回避 | 看護師は、自分自身や他の関係者の利益によって、患者に有害な影響を与えることがないように、利益相反を回避することが求められます。 |
特にこの中で大切なものとして人として尊厳を保持し、本人に意思決定の権利があることを伝えることだと思います。病気や制度について詳しく知っている医療職がすべて決めるのではなく、患者主義であることが大切です。
看護師に求められる倫理とは?
患者を中心に考えることが重要であるという点が挙げられます。つまり、看護師は患者の状態や症状を評価し、患者の希望やニーズを理解して、最高のケアを提供するために必要なスキルを持っていることが求められます。また、看護師は、患者と家族とのコミュニケーションに重点を置き、患者と家族との信頼関係を築くことが求められます。
さらに、患者のプライバシーや機密情報を守ることが求められます。看護師は、患者の健康情報を適切に管理し、不適切な開示を防止することが重要です。
また、看護師は、自分自身の能力や限界を正確に把握し、必要に応じて医療スタッフと協力して患者に最適なケアを提供することが求められます。さらに、看護師は、継続的な学習や専門的な成長を追求することで、患者に最高のケアを提供することができます。
緊急時には、看護師は倫理的な判断力を駆使し、迅速かつ適切な行動を取ることが求められます。また、看護師は、倫理的な問題について専門的なアドバイスを求めることができるように、自己啓発と専門的なネットワークを育成することも重要です。
看護倫理は、看護職の中心的な価値観であり、患者中心の看護実践を支援します。看護師は、倫理的な問題に直面した場合には、常に患者の福祉を最優先に考え、倫理的な原則に基づいた適切な行動を取ることが求められます。
看護師には、患者の健康や福祉を最優先に考え、倫理的な責任を果たすことが求められます。以下では、看護師に求められる倫理的な責任について解説します。
職場の人しかいない食事会などで、患者さんの話をすることはやめましょう。
昨日も回転寿司店で患者さんの話をしている人を見かけました。
倫理が足りていないと思ってしまいました。
看護師の倫理的な責任とは何か?
患者の人権の尊重 | 看護師は、患者の人権を尊重し、その尊厳やプライバシーを守ることが求められます。患者の文化的背景や宗教的信念、性別、年齢などを考慮し、個別のケアプランを立てることが重要です。 |
患者とのコミュニケーション | 看護師は、患者とのコミュニケーションを通じて、患者のニーズや希望を理解し、最適なケアを提供することが求められます。患者やその家族に対しては、適切な情報提供を行い、共有意思決定を促すことが大切です。 |
専門的な責任 | 看護師は、自分自身の専門的な知識や技能を最大限に活用し、患者に最適なケアを提供することが求められます。また、患者の安全や健康を守るために、看護師自身の健康管理や職務遂行能力の維持が重要です。 |
倫理的な判断力の発揮 | 看護師は、倫理的な問題について専門的な判断力を発揮し、迅速かつ適切な行動を取ることが求められます。倫理的な問題に直面した場合には、患者の利益を最優先に考え、適切な解決策を見つけることが必要です。 |
以上のように、看護師には、患者の健康や福祉を最優先に考え、倫理的な責任を果たすことが求められます。患者やその家族と接する上で、適切な倫理観を持ち、倫理的な問題に対処するための専門的な判断力を発揮することが大切です。
看護師は、患者の健康や福祉を最優先に考え、倫理的な責任を果たすことが求められます。しかし、時には倫理的ジレンマに直面することがあります。以下では、倫理的ジレンマとその対処法について解説します。
例え同じ病気でも、その人の精神状況や周りの環境、歩んできた人生は違います。なので、その人について知ることが大切です。
倫理的ジレンマに直面した看護師の対処法とは?
倫理的ジレンマとは、二つ以上の価値観が衝突し、どちらを選択するべきか判断が難しい状況のことを指します。看護師にとっては、例えば、患者の意思を尊重するか、医師の指示に従うかというような状況が考えられます。
対処法
倫理的ジレンマに直面した場合は、以下のような対処法があります。
(1) 状況を客観的に把握する
倫理的ジレンマに直面した場合は、状況を客観的に把握することが重要です。自分自身の思い込みや偏見が介入しないよう、冷静に判断することが求められます。
※私はそのときにA4紙に対立構造を絵に書いたり、文字にすることで頭の中を整理するようにしています。
(2) 専門家と相談する
倫理的ジレンマに直面した場合は、専門家と相談することが重要です。医師、社会福祉士、法律家、倫理委員会などに相談することで、適切な解決策を見つけることができます。
※食事を食べたいと悩んでいるなら、栄養士や言語聴覚士の方に相談することが多いです。
(3) 自己学習や研修を積む
看護師は、自己学習や研修を積むことで、倫理的ジレンマに適切に対処することができます。倫理的ジレンマに直面した場合は、その問題について学び、自己啓発することが大切です。
本をよむことも大切ですが、今までの体験を振り返ることも良い学びとなります。
以前はどう対処したか?書き出してみることも大切です。
(4) チームで議論する
倫理的ジレンマに直面した場合は、チームで議論することが有効です。医師、看護師、社会福祉士、患者や家族など、多様な立場から意見を聞き、問題解決に向けて協力することが求められます。
みんなを集めることが大変な場合は、井戸端会議ですぐ近くの人達の意見を聞くことが大切です。すると、他の人もぞろぞろと参加し、思いもよらない解決策が思いつくこともあります。
以上のように、倫理的ジレンマに直面した場合は、状況を客観的に把握し、専門家やチームで相談することが大切です。
私の職場であったケースでは、神経難病の方で余命が短く、本人はどうしても食べたいと希望を訴えていました。しかし、医者からは食べることの許可ができないとジレンマに陥りました。
その時は、歯科医師に相談を行い、安全な食事方法の提案、介護士による食べやすい食事の提案があり、焼き鳥を召し上がることができていました。
はじめは患者と医師と相違があっても、議論を進めることで患者も医師も納得できる方法を導き出せることもあります。一人で抱えずチームを巻き込むことは大切だと思いました。
終末期医療とは何か?
終末期医療とは、治療が困難な状態に陥った患者に対して、痛みの緩和や苦痛の緩和、安らかな死を迎えるための支援を行う医療のことです。終末期医療には、医師、看護師、ソーシャルワーカー、薬剤師、リハビリ職などが関わっています。
看護師が終末期医療において果たす役割について考える
看護師が終末期医療において果たす役割には、患者やその家族とのコミュニケーションや情報提供、痛みや苦痛の緩和、身体的なケアや心理的な支援、宗教的なニーズへの対応、死後のケアなどがあります。また、看護師は、患者や家族の意見や要望を聞き入れながら、医師やチームメンバーと協力して治療方針を決定し、患者の生活の質を最大限に保つように努めます。
終末期医療における看護師の倫理的責任には、患者の尊厳や自己決定権を尊重することが挙げられます。患者が望む治療や支援を提供することが求められますが、その中でも看護師自身の倫理観を守りつつ、患者の人格尊重を最大限に考慮しなければなりません。また、患者や家族に対しては、情報提供やコミュニケーションを行い、患者や家族が抱える不安や疑問に対応することも求められます。
倫理的なジレンマが生じた場合、看護師は倫理的な判断を下す必要があります。例えば、患者が治療を望まない場合に、家族や医師からの要請があった場合、看護師はどう対処すべきかという問題があります。このような場合、看護師は自己決定権を尊重しつつ、患者の人格尊重を考慮して、家族や医師と協力して解決策を模索する必要があります。
終末期医療における看護師の倫理的責任について考える
終末期医療において看護師に求められる倫理的責任は多岐にわたります。以下に代表的なものをいくつか挙げます。
尊厳死を支援すること
患者の希望や意向を尊重し、可能な限り自己決定を尊重することが求められます。看護師は、患者やその家族としっかりとコミュニケーションを取り、患者が望む治療やケアを提供することが大切です。また、苦痛を軽減するために、適切な緩和ケアを提供することも重要です。
看取りに対する支援
終末期患者は、しばしば孤独や不安に苦しむことがあります。看護師は、患者の身の回りの世話だけでなく、患者とその家族に寄り添い、心のケアも提供することが求められます。また、患者が亡くなった後の遺族支援にも対応することが重要です。
プライバシーの尊重
患者のプライバシーを尊重し、情報漏洩を防ぐことが求められます。特に、患者が望まない情報を不用意に漏らさないように注意することが大切です。また、死後の遺体の取り扱いについても慎重に考え、遺族の意向を尊重することが重要です。
まとめ
少し硬い内容が続いてしまいましたが、理解できたでしょうか?
以上のように、終末期医療において看護師が果たすべき倫理的責任は多岐にわたります。看護師は、患者やその家族に寄り添い、適切なケアを提供することで、患者の尊厳を守ることが求められます。
そして、どんな人でも、生きている意味はあります。身体を動かすことができなくても、その方がいるだけで他の人に価値を提供していることはわすれないでほしいです。
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