もう探さない。Obsidianで始める「勝手に繋がる」魔法のメモ術

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あなたのメモは「死蔵」していませんか?

「せっかくメモを取ったのに、どこに書いたか忘れてしまった」

「Notionのページを綺麗に整えるだけで満足して、肝心の中身を読み返していない」

そんな経験はありませんか?

情報を溜めるだけで活用できない状態を、本書ではメモの「死蔵」と呼んでいます。多くの人がメモに挫折するのは、あなたがズボラだからではありません。「ちゃんと分類して、ちゃんと探しに行く」という管理方法に、脳の限界が来ているだけなのです

そこで今、世界中の知的生産者に愛されているのがObsidian(オブシディアン)です。

Obsidianは、既存のツールとは全く異なる「脳の外部」として機能します3。この記事では、難しい設定は一切抜き。未経験のあなたが、「書けば書くほど、勝手にメモが繋がっていく」という魔法のような体験をするための最短ルートをナビゲートします。

目次

なぜあなたのメモは「死蔵」してしまうのか?

「整理」が思考の邪魔をしている

私たちはついつい、メモを取る前に「どのフォルダに入れようか?」と悩んでしまいます。しかし、この「トップダウン」の分類には大きな罠があります 4

  • 枠に縛られる: 「パスタ」のフォルダを開いた瞬間、思考はパスタに限定され、他の可能性が消えてしまいます5
  • 探すコスト: 情報が複雑になると、どこに何を置いたか記憶の容量が足りなくなり、システムが破綻します 。

NotionやEvernoteで「階層を深く作りすぎて、結局中身を見なくなった」というのは、この「枠(フォルダ)」が思考の範囲を限定してしまっているからなのです 。

大事なのは「整理」ではなく「活用」

本来、データは参照して終わりではなく、新しいアイデア(仮説)を生み出すための「材料」であるべきです 。

料理に例えてみましょう。

冷蔵庫を開けて「あるもので作る」のが得意な人は、トマト缶やニンニクといった個々の「材料」を見て、その場でメニューを決めます。Obsidianが目指すのは、まさにこの「ボトムアップ」の思考です。

1つ1つのメモを「材料」として扱い、それらを繋ぎ合わせることで、後から自然と「意味」が浮かび上がってくる。この体験こそが、Obsidianの真骨頂です。

Obsidianでしか味わえない「思考が繋がる」体験

フォルダは「安心」、リンクは「快感」

NotionやGoogleドライブのように、ファイルをフォルダに分けると確かに「どこに何を置いたか」が分かりやすくなり、一時的な安心感が得られます 。しかし、それはあくまで情報の「整理」でしかありません。

Obsidianが提供するのは、整理を超えた「つながる体験」です 。 その中心にあるのが、[[ ]](二重ブラケット)で囲むだけの「内部リンク」という魔法です 。

[[二重ブラケット]] の魔法

やり方は簡単。メモを書いている途中で、大事だと思ったキーワードを [[メモアプリ]] のように括弧で囲むだけです 。

  • 自動で道ができる: 括弧で囲んだ瞬間、その言葉は「新しいノート」への入り口になります 。
  • 過去と未来が繋がる: 1ヶ月後に別のメモで同じ言葉を [[ ]] で囲むと、過去の自分の思考と今の思考が一本の線で繋がります。
  • 勝手に見つけてくれる: たとえリンクを貼り忘れても、Obsidianは「他のノートに同じ名前のタイトルがあるよ」と教えてくれます(リンクされていないメンション)。

わざわざ「あのメモどこだっけ?」と探しに行く必要はありません。メモの方からあなたに会いに来てくれる。これがObsidian特有の快感です。

「あるもので作る」ボトムアップの思考

この「つながる」仕組みを、本書では「ボトムアップ分類」と呼んでいます 。

料理をするとき、まず「パスタを作る」と決めてから買い物に行く(トップダウン)のではなく、冷蔵庫を開けて「トマト缶とニンニクがあるから、今日はソースを作ろう」と考える(ボトムアップ)イメージです 。

1つ1つのメモは、料理の「材料」です 。 材料(メモ)が溜まってくると、それらを眺めているだけで「あ、この情報とこの情報は繋がるな」という新しい発見や仮説が生まれます 。

多くのツールは「完璧な収納棚」を作らせようとしますが、Obsidianは「最高の食材置き場」を提供してくれます。整理なんて後回しでいい。まずは材料を放り込み、リンクで繋ぐ楽しさを味わってみてください。

【3分で完了】挫折しないための初期設定

Obsidianには数え切れないほどの設定項目がありますが、未経験者が最初にやるべきことはたった2つだけです。

1. 「心の安定」のための4つのフォルダ作り

まずはこの4つの箱(フォルダ)を作るだけでOK

Obsidianを開いたら、まず画面左上の「新規フォルダ」アイコンをクリックして 、以下の4つのフォルダを作成しましょう。

  • 01_Inbox: とりあえずメモを放り込む場所(.mdファイル用)
  • 02_Daily: 毎日の記録をつける場所(デイリーノート用)
  • 03_Extra: 画像やPDFなど、メモ以外のファイルを置く場所
  • 04_Templates: メモの雛形を保存しておく場所

本書では表示順を固定するために番号を振っていますが、名前は自由に変えても構いません 。まずはこの「4つの箱」があるだけで、どこに何を入れるべきか迷わなくなり、心理的なハードルがグッと下がります。

2. デイリーノートを「思考の入り口」にする

設定はシンプルに。デイリーノートをONにする

次に、Obsidianの標準機能である「デイリーノート」を有効にしましょう。

  • 設定: 【設定 > コアプラグイン > デイリーノート】をONにします 。
  • 保存先: 「新規ノートの作成場所」を、先ほど作った「02_Daily」フォルダに指定してください 。

これで準備完了です!

なぜ「読書メモ」から始めないのか?

「せっかくObsidianを使うなら、カッコいい読書メモを作りたい」と思うかもしれません。しかし、未経験者にとってアウトプット前提の読書メモは非常にハードルが高いものです。

  • 本を読まない日は書くことがない。
  • 「ちゃんとまとめなきゃ」と身構えてしまう。
  • 要約や引用など、思考のコストが高すぎる。

実際、多くの学習調査でも、初心者ほど「アウトプット前提の読書メモ」での挫折率が高いことが示されています。

だからこそ、まずは「今日起きたこと、感じたこと」をそのまま書くだけでいいデイリーノートから始めるのが、挫折しないための唯一の正解なのです。

まずはここから!「つながる」を楽しむ初日の一歩

「何を書けばいいんだろう?」と身構える必要はありません。以下の3つのステップを試すだけで、あなたのメモは「ただの記録」から「生きた資産」へと変わり始めます。

Step 1:デイリーノートに「今の自分」を書き出す

まずは、今日の日付のノート(デイリーノート)を開きましょう 。 書く内容は、本当に何でも構いません。

  • 例: 「今日のお昼はアラビアータを食べた。美味しかった!」
  • 例: 「最近、トミー・ジョン手術を受けた投手が球界復帰するニュースをよく見る気がする」
  • 例: 「仕事で使う新しいツール、Obsidianの設定をしてみた」

Step 2:キーワードを [[二重ブラケット]] で囲む

キーワードを二重のブラケット [[ ]] で囲む

ここが魔法の入り口です。書いた文章の中で、少しでも「あとでまた出てきそうだな」と思うキーワードを [[ ]] で囲んでみましょう 。

  • [[アラビアータ]]
  • [[トミー・ジョン手術]]
  • [[Obsidian]]

これだけでOKです。この瞬間、Obsidianの中にそのキーワード専用の「部屋」が予約され、メモ同士が繋がる準備が整います 。

Step 3:1週間後、勝手に繋がる快感を味わう

バラバラだったメモがこうして繋がり、あなたの知識ネットワークができてくる

1週間ほどデイリーノートを続けてみてください。ある日、別のメモで再び [[アラビアータ]] と書いたとき、Obsidianは「1週間前にもアラビアータについて書いていましたね」と、過去のあなたを連れてきてくれます。

これが、「フォルダに探しに行く」必要がない、Obsidian独自の体験です。 情報を DiMFiT(デイリーノート、リンク、メタデータ、フォルダ、タイトル、タグ)というフィルターに通すことで、メモの山から必要な手がかりをスッと引き上げられるようになります 。

まとめ:あなたのメモは、あなたの資産になる

「ちゃんと整理しなきゃ」というプレッシャーは、今日で終わりにしましょう。

  • フォルダは最低限の「安心」のために: 4つのフォルダを作るだけで十分です 。
  • リンクは思考の「快感」のために: [[ ]] で囲むだけで、メモは勝手に繋がり始めます 。
  • まずはデイリーノートから: 難しい読書メモよりも、日々の気づきを大切にしましょう 。

Obsidianは、使えば使うほどあなたの「外部脳」として成長していきます。数ヶ月後、バラバラだったメモたちが勝手に繋がり、自分でも思いもよらなかったアイデアが生まれる瞬間を、ぜひ楽しみにしてください。

まずは今日、Obsidianをインストールして [[今の気持ち]] を1つだけ書いてみませんか? その一歩が、あなたの思考の景色を変える始まりになります。

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