こんにちは!にこいちです。
今、日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』、めちゃくちゃ話題ですよね。
「ドラマ、面白いけど原作ってどうなの?」
「競馬の話って、難しそう…」
そう思っているあなたに、声を大にして言いたい。
今すぐ、原作小説を読んでください!
なぜなら、この物語の真髄は、単なるレースの勝敗や華やかな血統の話ではないから。
これは、父を失い、心の空虚を抱えた一人の青年が、「本当の居場所」を見つけ、静かな絆を受け継いでいく「人生の再生」を描いた、圧巻のヒューマンドラマなんです。
今日は、なぜドラマ視聴者にこそ原作小説『ザ・ロイヤルファミリー』を読んでほしいのか、その「魂」の部分をネタバレなしで熱く語らせてください!

競馬を知らなくても大丈夫。物語は「あの日」から始まる
まず、競馬の知識は一切不要です。
なぜなら、主人公の栗須栄治(くりすえいじ)も、最初はまったくの素人だから。
物語は1997年。
父を亡くし、心にぽっかりと穴が空いたまま税理士として働く栄治。彼はある日、友人の紹介で、豪腕で知られる人材派遣会社の社長・山王耕造(さんのうこうぞう)と出会います。
耕造の大きな夢は、自分の所有馬(冠名は「ロイヤル」)で、有馬記念を制覇すること。
しかし、馬主としての知識は乏しく、長年G1勝利からは遠ざかっていました。
そんな耕造に拾われ、やがて秘書として抜擢された栄治。
彼は耕造を支え、競馬の世界に深く関わっていくことになります。そして出会う、一頭の栗毛の牡馬「ロイヤルホープ」。
日本ダービー制覇という大きな夢に向かって走り出すチーム。
その裏側で渦巻く人間模様、権力、そして父と子の絆……。
そう、この物語は栄治(秘書)の視点で進むので、私たち読者も彼と一緒に、競馬の世界と、そこで生きる人々の「熱」を学んでいけるんです。

「俺んとこに来るかい?」——心を掴む「継承」のドラマ
この小説には、心を鷲掴みにされるセリフや場面が散りばめられています。
私が「精読」して震えた、この作品の「核」となる部分を2つだけ、特別にご紹介します。
1. 居場所をくれた、あの一言
主人公の栄治が、失意の中で耕造社長から手を差し伸べられるシーン。
「俺んとこに来るかい?」
たったこの一言が、孤独だった栄治の人生をどれだけ救ったことか。
これは単なるリクルートではありません。
居場所を失くしかけていた人間を、その温かさと器の大きさで丸ごと受け入れるという、「人生の転機」そのものです。
この瞬間に、血の繋がりを超えた「親子」のような関係、そして「継承」の物語が静かに幕を開けるのです。
2. 耕造の覚悟が示す「人間ドラマ」
もう一つは、会社が危機に瀕した時の耕造のセリフ。
「一度裏切った人間は戻っちゃこない」
利益や効率だけを考えれば、人を切る(解雇する)のが早いかもしれない。
しかし、耕造はそれをしない。
人に対しても、馬に対しても、最後まで誠実に向き合い、責任を持つ。この覚悟と信念こそが、彼が「ロイヤルファミリー(=一族)」を築こうとする理由そのもの。
この小説は、レースの勝ち負け以上に、「人をどう信じるか」「想いをどう受け継ぐか」という、骨太な人間ドラマに満ちているんです。
この小説の切り口:「血と夢の“継承”」と「人生の再生」
ここまで読んでお分かりの通り、私がこの記事で一番伝えたい「切り口」はこれです。
これは、「血と夢の“継承”」を通して描かれる、静かな家族の絆と人生の再生の物語である。
競馬の世界は「血統」が全て、と言われることがあります。
しかし、この小説が描くのは、馬の血統(血)だけではありません。
- 父から子へ、受け継がれる「想い」
- 馬主から馬主へ、受け継がれる「夢」
- そして、血の繋がりを超えて築かれる「家族の絆」
主人公の栄治、社長の耕造、そして彼らを取り巻く人々(もちろん、あの「とある青年」も!)が、それぞれの「居場所」を模索し、誰かと寄り添う温かさの中で、静かに人生を再生させていく。
20年を超える壮大なドラマの中で、じわじわと心に染み入る「継承」の力こそが、この作品最大の魅力です。

【ドラマ比較】原作の「静」と、ドラマの「動」
「でも、ドラマと原作って違うんでしょ?」
その通り! そして、それが最高なんです。
- 原作小説は、文章の「静けさ」や「余白」が魅力。群像劇のスタイルで、登場人物たちの心の機微がじわじわと読者に浸透してきます。「ああ、この人、今こんな気持ちなんだな」と、自然に感情移入できる構成です。
- ドラマ版は、映像ならではの「臨場感」と「時代性」が武器。役者の目線や沈黙、音楽、そして実在の名馬(ウォッカやアーモンドアイなど)の登場! さらに、SNSや経済危機といった現代的なテーマも加わり、「赦し」や「再生」のヒューマンな軸がより強く打ち出されています。
原作ファンとしては、ドラマが「台詞よりも強い映像演出」で、原作の根底に流れる「継承・再生」の精神をどう表現してくれるのか、期待しかありません。
原作とドラマ、どちらか片方だけではもったいない!
文章でしか味わえない「静かな余白」と、映像でしか味わえない「リアルな臨場感」。
両方を知ることで、この『ザ・ロイヤルファミリー』という壮大な物語を、私たちは2倍、いや10倍深く楽しむことができるのです。
まとめ
早見和真さんの『ザ・ロイヤルファミリー』は、単なる競馬小説でも、華やかな一族の物語でもありません。
これは、「居場所」を見失った人々が、温かな絆の中で「継承」というバトンを受け取り、人生を再生させていく、静かで、しかし何よりも力強い物語です。
ドラマの「あの青年」がなぜあそこにいるのか。
栄治と耕造が築いたものの「本当の意味」とは何か。
その答えのすべてが、この原作に詰まっています。
ぜひ、この重厚な「継承」の物語を、あなたの心で体感してみてください。
いかがでしたでしょうか?
あなたなら、誰にどんな「想い」を継承したいですか?
ぜひ、原作を読んだ感想や、ドラマへの期待などもコメントで教えてくださいね!

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