「最近のゲームAI、めちゃくちゃ強くない?」 「自動運転って、どうやって安全なルートを見つけてるの?」
そんな風に思ったことはありませんか?実は、その賢さの裏側には「プランニング」というAI技術が大きく関わっています。
こんにちは!AIについて楽しく学べる情報をお届けするブログへようこそ! 今回は、AIが目標を達成するために「どう動くべきか?」を計画する技術、プランニングについて、AI初学者の方やG検定の勉強中の方にも分かりやすく解説していきます。
この記事を読めば、
- プランニングって何?が基本から分かる!
- 探索木やモンテカルロ法など、主要な手法が理解できる!
- AIの歴史から現代の応用例まで、幅広く知れる!
- G検定でどこを押さえるべきか、具体的な対策が分かる!
など、プランニングの全体像が掴めるはずです。一緒に学んでいきましょう!😊
プランニングって何?~AIの「計画術」はじめの一歩~
プランニングとは、簡単に言うと「目標を達成するための行動計画を立てる技術」のことです。
私たち人間も、普段から自然にプランニングをしていますよね?
- 旅行に行く前に、どの交通機関で、どの順番で観光地を巡るか計画する✈️
- 料理をするときに、材料を切る順番や加熱のタイミングを考える🍳
AIも同じように、ある目的(ゴール)を達成するために、どのような手順(行動の系列)を踏めばよいかを考え、計画を立てる必要があるんです。この「計画を立てる能力」こそが、AIが自律的に賢く動くための鍵となります。
特に、AI研究の初期段階である第1次AIブーム(1950年代~1960年代) では、「推論」と「探索」が中心的なテーマであり、このプランニング技術の研究が盛んに行われました。
プランニングの古典的なスター選手:STRIPSとSHRDLU
プランニングの考え方を理解するために、初期の有名なシステムを2つ見てみましょう。
- STRIPS (Stanford Research Institute Problem Solver) ロボットに行動計画を立てさせるための古典的なシステムです。「ロボットがお茶を淹れる」という簡単な例で考えてみましょう。
- 初期状態: ロボットはキッチンにいる、ポットは空、水は蛇口にある、カップは棚にある…
- 目標状態: カップにお湯が入っている
- 行動:
- 移動する(場所Aから場所Bへ)
- 掴む(物Xを)
- 置く(物Xを場所Yに)
- 水を出す(蛇口からポットへ)
- お湯を沸かす(ポットの水を)
- 注ぐ(ポットのお湯をカップへ)
- STRIPSは、それぞれの行動に対して、「前提条件(その行動ができる条件)」、「行動(何をするか)」、「結果(行動後に状態がどう変わるか)」を定義します。そして、目標状態を達成するために、どの行動をどの順番で行えばよいかを見つけ出すのです。まるでパズルのピースを組み合わせるみたいですよね🧩
- SHRDLU (シュルドルー) こちらは「積み木の世界」という仮想空間で、人間と自然言語(英語)で対話しながら、積み木を操作するプログラムです。
(イメージ)
- 人間: “Pick up a big red block.” (大きな赤いブロックを持ち上げて)
- SHRDLU: (赤いブロックが他の物に乗っていないか、ロボットアームで掴めるかなどを判断し) “OK.” (実行)
- 人間: “Find a block which is taller than the one you are holding and put it into the box.” (持っているブロックより背が高いブロックを見つけて箱に入れて)
- SHRDLU: (指示を理解し、条件に合うブロックを探し、持ち上げて箱に入れる計画を立てて実行) “By “it”, I assume you mean the block which is taller than the one I am holding. OK.”
- SHRDLUは、言葉の意味を理解し、それを具体的な行動計画に変換して実行するという、当時としては画期的な能力を持っていました。
これらの古典的なシステムは、後のロボット工学や問題解決システムに大きな影響を与えました。
探索の基本:探索木で迷路を攻略!
プランニングで「どういう順番で行動すればゴールにたどり着けるか?」を見つけるために、よく使われるのが「探索木」という考え方です。これは、可能な状態と行動のつながりを木の枝のように表現したものです。
この探索木を使ってゴールまでの道筋を探す代表的な方法が2つあります。
- 幅優先探索 (BFS: Breadth-First Search) スタート地点に近いところから順番に、層ごとに横へ横へと探索していく方法です。「しらみつぶし」に探すイメージですね。
- 長所: 必ず最短経路を見つけられる。
- 短所: 探索範囲が広がると、チェックすべき場所(ノード)が爆発的に増え、大量のメモリが必要になることがある。
- 深さ優先探索 (DFS: Depth-First Search) 行けるところまで、とにかく深く深く探索していく方法です。行き止まりになったら、一つ前に戻って別の道を探します。
- 長所: 一つの経路を深く追うので、メモリ消費量は比較的少ない。
- 短所: 最初に見つけた経路が最短であるとは限らない。深い階層に迷い込むと時間がかかることがある。
探索木の応用例:ハノイの塔
有名なパズル「ハノイの塔」も、探索木で考えることができます。3本の杭と大きさの違う円盤があり、「小さい円盤の上に大きい円盤は置けない」というルールを守りながら、全ての円盤を別の杭に移動させる問題ですね。
全ての可能な円盤の配置(状態)と、そこからの移動(行動)を探索木で表すことで、解き方(最短手順)を見つけ出すことができます。これは再帰的なアルゴリズムの良い例としても知られています。
ゲームAIを強くした!モンテカルロ法の登場
チェスや将棋、囲碁のようなボードゲームで、コンピュータが人間に勝つためには、膨大な数の手の組み合わせ(局面)を読む必要があります。しかし、全ての可能性を調べる「ブルートフォース(総当たり)」では、組み合わせが多すぎて現実的な時間内に終わりません(これを計算量爆発と言います)。
そこで、「この局面は有利そうだ」「この手は悪そうだ」といった経験則(ヒューリスティックな知識)を使って探索範囲を絞る工夫(Mini-Max法やαβ法など)が行われてきました。
さらに近年、特に囲碁AI「AlphaGo」の登場で有名になったのが「モンテカルロ法」です。
モンテカルロ法とは、超ざっくり言うと「とりあえず最後までランダムにやってみて、どっちが勝つかシミュレーションを繰り返す」方法です。
ある局面で、どちらの手が良いか分からない時、
- その局面から、ランダムに手を選んでゲームを進める(プレイアウト)。
- ゲームが終わるまでシミュレーションし、勝敗を記録する。
- このプレイアウトを何千回、何万回と繰り返す。
- 結果的に勝率が高かった最初の手を「有望な手」として評価する。
という考え方です。囲碁のように局面の評価が難しいゲームで特に有効でした。
そして、このモンテカルロ法と探索木を組み合わせた「モンテカルロ木探索(MCTS: Monte Carlo Tree Search)」が、AlphaGoなどの強いゲームAIで使われています。有望そうな手の周辺を重点的に探索しつつ、ランダムなシミュレーションでその手の良し悪しを評価する、賢い探索手法なんです。
プランニングは今も進化中!現代AIでの活躍
第1次AIブームから続くプランニング技術は、形を変えながら現代のAIにも活かされています。
- 自動運転: 周囲の状況(他の車、歩行者、信号など)を認識し、目的地までの安全で効率的な経路計画や、障害物回避の行動計画をリアルタイムで立てています🚗💨
- ロボティクス: 工場の自律搬送ロボット(AGV/AMR) が、荷物を効率的に運び、他のロボットと衝突しないように経路計画を立てたり、複数のロボットが協調して作業する計画を立てたりしています🤖
- 物流・サプライチェーン: トラックの最適な配送ルートを計画したり、広大な倉庫内で効率的なピッキング(品物集め)の順序を計画したりするのに使われています🚚📦
- その他: スケジュール最適化、資源配分計画、ネットワーク経路制御など、様々な分野で「計画」が必要な場面で活躍しています。
プランニングの弱点とこれからの課題
万能に見えるプランニングにも、苦手なことや課題があります。
- 計算量の問題: やはり、状態や行動の組み合わせが膨大になると、最適な計画を見つけるのに時間がかかりすぎたり、メモリが足りなくなったりする問題(状態空間爆発)は常に課題です。
- 不確実性への対応: 現実世界は、予期せぬ出来事が起こります(例: 急な渋滞、ロボットのセンサーエラー)。事前に立てた完璧な計画が、状況変化で使えなくなることも。リアルタイムで計画を修正し続ける動的プランニングや、確率的なプランニングの研究が進められています。
- 他の技術との融合: 最近では、試行錯誤から学習する強化学習とプランニングを組み合わせることで、より柔軟で賢い意思決定を行うAIの研究も盛んです。
【G検定対策】ここが重要!プランニングの学習ポイント
さて、G検定合格を目指す皆さんにとって、プランニング分野で押さえておくべきポイントをまとめましょう!
1. シラバスでの位置づけ: プランニングは「AIの主な手法:探索・推論」のカテゴリに含まれ、特に第1次AIブームの基礎技術として重要視されています。
2. 頻出キーワードと概要: 以下のキーワードは、名称と「それが何をするものか」を簡潔に説明できるようにしておきましょう。
キーワード | 概要 | ポイント |
探索木 | 問題の状態と行動を木構造で表現したもの。 | プランニングの基本的な考え方。 |
幅優先探索(BFS) | 探索木を根に近い順(浅い順)に探索。 | 最短経路を見つけられるが、メモリ消費大。 |
深さ優先探索(DFS) | 探索木を可能な限り深く探索し、行き止まりで戻る。 | メモリ消費少だが、最短とは限らない。 |
STRIPS | 「前提条件・行動・結果」でロボット等の行動計画を記述するシステム。 | 古典的なプランニングシステムの代表例。 |
SHRDLU | 積み木の世界で自然言語理解と行動計画を結びつけたシステム。 | 自然言語処理とプランニングの連携例。 |
モンテカルロ法 | 乱数を用いたシミュレーションを繰り返し、近似解を得る手法。 | ゲームAI(特に囲碁)で有効。プレイアウトがキーワード。 |
モンテカルロ木探索(MCTS) | モンテカルロ法を探索木に応用した手法。AlphaGoで有名。 | 探索とシミュレーションの組み合わせ。 |
ヒューリスティック | 経験則や発見的な知識。探索の効率化に使われる。 | 必ずしも最適解を保証しないが、現実的な時間で解を見つけるのに役立つ。 |
ブルートフォース | 総当たり探索。全ての可能性を調べる。 | 確実だが、組み合わせが多いと計算量爆発を起こす。 |
Mini-Max法、αβ法 | ゲームにおける探索アルゴリズム。相手の最善手を考慮して自分の手を決める。αβ法はMini-Max法の効率化版。 | ボードゲームAIの古典的な手法。 |
3. 出題傾向と学習アドバイス:
- G検定では、複雑な計算問題はほとんど出ません。各用語の意味と、その特徴(長所・短所)、簡単な応用例を理解しているかが問われます。
- BFSとDFSの違い(最短経路か、メモリ消費量か)は頻出です。しっかり区別しましょう。
- STRIPSやSHRDLUは、「何をするためのシステムか」を簡潔に説明できるようにしておきましょう。
- モンテカルロ法は、「ランダムなシミュレーション(プレイアウト)を繰り返す」という点がポイントです。AlphaGoとの関連も覚えておきましょう。
- 図や具体的な例(迷路、ハノイの塔、ゲーム)と結びつけて覚えると、記憶に残りやすくなりますよ!
まとめ:プランニングはAIの知恵の源!
今回は、AIの「計画術」であるプランニングについて、基本から応用、そしてG検定対策まで幅広く見てきました。
- プランニングは、目標達成のための行動計画を立てる技術
- 探索木、BFS、DFSは基本的な探索手法
- STRIPS、SHRDLUは古典的なプランニングシステム
- モンテカルロ法(MCTS)は現代のゲームAIなどで活躍
- 自動運転やロボティクスなど、今も様々な分野で進化・応用されている
プランニングは、AIが単なる計算機ではなく、「知的に振る舞う」ために欠かせない要素の一つです。この分野を理解することは、AI全体の仕組みを理解する上でとても役立ちます。
さて、今回の記事を読んでみて、
- あなたの身の回りでは、どんなところにプランニング技術が使われていると思いますか?
- G検定の勉強やAIの学習で、他に知りたいテーマはありますか?
ぜひ、コメント欄であなたの考えや質問を教えてくださいね!一緒にAIの学びを深めていきましょう!😊
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