夕方になると、パソコンの前で腰を伸ばしたくなる。首の後ろが重くなり、画面の文字を追うのがつらい。デスクワークが中心の方なら、思い当たる場面があるかもしれません。
この記事では、座りっぱなしの時間を30分ごとに区切るやり方をまとめました。中身は、理学療法士としての一般的な考え方と、続けるための工夫です。効果を約束する内容ではない点を、先にお伝えしておきます。
夕方に体が重いのは「座りすぎ」のせいかもしれない

夕方に体が重いのは、気合いが足りないからだとは考えていません。
午前は会議、午後はメールと資料づくりが続くと、昼から一度も立っていない日もあると思います。腰や首が重いまま仕事を終えると、帰宅後に使える体力はあまり残りません。子どもと遊ぶ時間になっても、ソファから立ち上がるのがおっくうになります。
困るのは、腰や首の重さそのものだけではありません。仕事のあとの家族との時間に、余裕がなくなることです。病院に行くほどではないと後回しにしているうちに、夕方の重さが当たり前のように感じられてくることもあります。
気合いで「1時間ごとに立とう」と決めても、仕事が立て込むと忘れてしまいます。続かないのは、意志が弱いからとは限りません。仕事の流れの中に、いつ立つかを決めるきっかけが用意されていないことが大きいと私は考えています。
私は理学療法士として10年目になります。総合病院では5年間、脳血管疾患・整形疾患・循環器疾患のリハビリを担当しました。その後は施設の訪問分野に移り、神経難病の方や人工呼吸器を使う方のリハビリにも関わってきました。リハビリは、同じ姿勢が続いたあとの体の動かし方を考える場面が多い仕事です。家に帰れば、2人の子どもの親でもあります。仕事のあとに体力をどう残すかは、子育て中の方にとって気になる点だと思います。
夕方の疲れについては、別の記事でも書いています。


なぜ座りっぱなしが体にこたえるのか(一般的な考え方)
厚労省ガイドが言っていること
厚生労働省は「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」をまとめています。このガイドでは、座りすぎを避けることが推奨されています。
座ったまま過ごす時間が長くなりすぎないようにすることが、推奨されている内容の1つです。細かな数値や対象ごとの書き方は、下の出典ページで読めます。
出典は、厚生労働省の健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023の関連ページです。
同じ姿勢が続くと起きやすいこと
ここからは、理学療法士としての一般的な考え方です。座っている間、背中や腰の筋肉は同じ長さのまま働き続けます。画面をのぞき込む姿勢で負担がかかるのは、頭を支える首や肩のまわりです。脚をあまり動かさないので、ふくらはぎの筋肉が縮んだり伸びたりする回数も少なくなりがちです。
理学療法士の考え方では、同じ姿勢が長く続くことが、こわばりや重だるさにつながりやすいと見ます。そのため、正しい姿勢を1つ決めて保つより、ときどき姿勢を変えるほうが体には自然だと考えています。
ただし、腰や首が重くなる原因は人によってさまざまです。座りすぎだけが原因とは限らないので、ここで書いたことは一般論として読んでいただければと思います。
首から肩のつらさについては、こちらの記事で書きました。


30分ごとに切る3つの方法と、続けるコツ
この記事の30分は、時計で区切りやすい長さとして置いた目安です。座りっぱなしを区切る手順は、次の3つに分けられます。
30分ごとのタイマー、電話がかかってきたとき、飲み物が空になったときなど、立つ合図を先に決めておきます。
立ち上がって背中を伸ばす、肩を回す、水をくみに歩くなど、その場でできる動きを1つ選びます。
会議中や集中している作業の途中で立てなかった回は飛ばして、次の合図から再開します。
1つ目のきっかけは、1種類に絞らなくてもかまいません。タイマーは時間で区切れる一方で、集中しているときは止めてそのまま作業に戻りがちです。電話や飲み物のように、仕事の中で自然に起きる出来事を合図にしておくと、タイマーを聞き逃した回も拾えます。小さめのコップを使うと、飲み物を注ぎに立つ回数を増やせるのも利点です。
2つ目の動きは、1分で終わるものから選ぶのがよいと思います。立ち上がって両手を上に伸ばす、腰に手を当てて軽く反らす、かかとを上げ下ろしするなどです。座っている間に使い続けていた背中や腰とは逆の向きに動かすことを意識します。痛みが出る動きは、無理に続けないでください。
3つ目は、運用の考え方です。抜けた回を取り返そうとして、あとでまとめて動く必要はありません。次の合図で立てば、そこからまた30分を数え直せます。毎回できたかどうかより、合図を決めたまま続けることが大切です。
30分ごとに区切るときに、つまずきやすい点
ここでは、30分ごとに区切るやり方で一般的につまずきやすい点をまとめます。
1つ目は、タイマーに慣れてしまうことです。最初は鳴るたびに立てても、日がたつと音を止めるだけになりがちです。スマートフォンを手の届かない場所に置くと、止めるために立つことになります。
2つ目は、会議や締め切りが重なる日です。午後に会議が続くと、30分ごとに区切るのは難しくなります。こうした日は、会議の終わりや次の会議への移動を合図に切り替えると、区切りがゼロになるのを避けられます。
3つ目は、周りの目です。オフィスで何度も席を立つと、さぼっているように見えないか気になる方もいると思います。水をくむ、コピーを取りに行くなど、用事と組み合わせると立ちやすくなります。
このやり方の微妙な点は、タイマーの音で集中が途切れることと、作業の区切りと30分の合図がずれることです。書きかけの文章を中断するのが惜しいときは、その段落を書き終えてから立つくらいの幅を持たせる方法もあります。合図をきっかけとして使い、作業を切る時刻としては扱わないほうが続けやすいと思います。
こんな人は様子見せず、専門職に相談を
座りすぎを区切る工夫は、あくまでセルフケアの範囲の話です。次のような状態があるときは、セルフケアで様子を見続けないほうがよいと考えています。
- 脚や腕にしびれがある
- 強い痛みが続く、または日ごとに強くなっている
- 夜、横になっていても痛む
- 力が入りにくい、つまずきやすいなど、動きに変化がある
これは一般的な目安で、診断ではありません。当てはまるときは、整形外科などの医療機関に早めに相談することをおすすめします。
効果には個人差があります。持病のある方は医師に相談してください。
体のケアについては、ほかにも次の記事を書いています。





コメント