書名は『いちばんやさしいDXの教本 改訂2版』で、副題は「人気講師が教えるビジネスを変革するAI時代のIT戦略」です。書名には「生成AI対応」とも付いています。著者は亀田重幸さんと進藤圭さんで、出版社はインプレスです。発売は、楽天ブックスの表記では2024年3月、紀伊國屋書店の表記では2024年4月です。A5判で208ページ、価格は税込2,090円(本体1,900円)となっています。書誌は紀伊國屋書店の書籍ページと楽天ブックスの商品ページの表記によります。
DXを任されたけれど、何から始めるかを説明できない
DXの担当を任されたとき、最初に困るのは「何から手を付けるか」を周りに説明することかもしれません。新しいツールを入れることがDXなのか、それとも別のことなのか。そこがあいまいなままだと、上司や同僚に「まず何をやるか」を言葉にしにくくなります。
ツールを入れたのに職場で使われなかったら、という不安もあるでしょう。費用をかけて仕組みを入れても、使われずに元の紙の運用に戻ることもあります。周りに相談できる人がいないと、その不安を1人で抱えたまま、動き出しにくい状態が続きがちです。
私は職場でDX推進担当をしています。
この記事は、同じようにDXを任された方に向けて、この本の考え方を私の解釈で紹介するものです。
どんな本か(書誌と章立て)
章立ては、第1章「DXを正しく理解する」から第7章「DXの先を見据えて」までの7章です。第1章でDXの意味を確かめるところから始まり、最後の章でその先の話に進む流れになっています。
書店の説明には「DXの基本から実践までプロセスごとに必要な知識が身につく。」とあります。DXの意味から進め方まで、順にたどれる構成です。
私が大事だと思った3つのこと
読みながら心に書きとめたことの中から、私が特に大事だと思ったことを3つに絞りました。下の図は、本の図を写さずに、私が自分の言葉で作り直した整理です。

3つの段階を、ひとことずつ並べるとこうなります。
最初の一歩はペーパーレス化です
売上などの流れごと電子化する段です
ITで稼ぎ方そのものを変える段です
DXは3段階。段を飛ばさない
この本では、デジタル化を3つの段階に分けて説明しています。1段目が紙の電子化、2段目が業務の流れの電子化、3段目が新しい価値づくりです。
私が受け取ったのは、段を飛ばさずに1段目から上るという考え方でした。新しい価値づくりは3段目にあり、その前に紙を減らす段と、仕事の流れを電子化する段があります。
読んだ感想として、私はこの本が、DXを単なるIT化ではなく、業務や事業価値の変革と位置づけていると書き残しています。紙の電子化から段階を踏む大切さも、明快に書かれていると感じました。
ツールを入れても使われなかったら、という不安に近い話も、ペーパーレス化を扱うページにあります。新しい仕組みは、使う人が使いやすくなければ使われず、データも集まらないという話です。
小さく始めて、早く成果を見せる
DXの最初の一歩は、1人と近くの同僚から小さく始めることです。早く成果を見せて理解者を増やし、段階を踏んで全社に広げる流れが示されています。
私の考えでは、全体に一斉導入しようとすると反発が生まれます。まず手を付けるなら、隣のスタッフ1人の業務からです。たとえば「このExcel集計が毎月面倒」と言っている人がいれば、その業務をダッシュボード化して、10分で終わる体験を作るという進め方です。その「楽になった」という声が、次の部署へ広がる推進力になると考えています。
失敗の型として挙げられているのは3つです。計画が大きすぎること、自前で作り込むこと、一部の部署で止まることの3つでした。
上司や同僚への説明で迷っている方には、成果の測り方の話も手がかりになりそうです。成果はKPIで測って定例会で確かめ続け、日程は「いつ成果が出るか」で共有するという考え方です。
作る前に「なくす・減らす」→SaaS→最後に自社開発
新しい仕組みを作る前に、まず「その業務はなくせないか、減らせないか」を考えます。次に、インターネット経由で使うサービス(SaaS)を使い、自社で開発するのは最後です。完璧を目指さず、小さく出して直すことも書かれています。
データは1か所に貯めて、判断に使います。分析は、並べる・比べる・繰り返すの3つから始め、明日の判断に役立てるという順番です。
読んだ感想に、私は「小さく早く成功を積み上げ、SaaS活用やデータ蓄積から始める視点は実務の業務改善に直結する」と書いています。
読み方のメモと、この記事で触れないこと
本書は「生成AI対応」をうたっていますが、この記事では、現場のDX担当者が最初に直面する「推進の始め方と業務改善の進め方」に絞って紹介します。取り上げるのは第1〜4章と第6章です。生成AIを医療介護の現場で使うときの考え方は、別の記事に詳しく書いています。

事例の章で私が心に書きとめたのは、他社の事例をそのまま真似せず、自社に合うかを確かめてから参考にするという考え方です。
こんな人に向きそうです/あわせて読む記事
この記事で紹介した『いちばんやさしいDXの教本 改訂2版』です。私は電子書籍で読みました。
書店の説明には、「プロジェクトリーダーとして知っておくべき全知識が1冊でわかる。」ともあります。DXのプロジェクトを任され、基本から実践までの進め方を順に確かめたい方に向きそうです。
「小さく始める」を、中小企業が月額2万円の生成AIから始める例で書いた記事もあります。

紙やExcelの報告書をダッシュボードに置き換える話は、電子化の次の段の例として読めます。

「DX動向2025」を読み、ビジネスアーキテクトという役割について書いた記事もあります。


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